敢えて虎穴に入ってみよう

 先日発売されたラルクのアルバム。知人が「これこそロックですよ!」と薦めてきたので「本当のロックとは、ラムーのボーカリスト菊池桃子さんだ〜!ロックなめんな!」と返信したらメールが返って来なかったので、ご機嫌取りも兼ねてアルバムを買ってみることにしました。…一応ファンだからどうせ買うつもりでいたし。
 ラルクと言えばドロドロしたロックです。ミーハーな人はそこら辺わかっていないようですが、ラルクの真骨頂は文明の力でブーストされたhydeの歌唱力でもサビ前に息切れしてテキト〜に作った感じのポップスでもなく、何だか歪んだセカイを持っているhydeが綴ったドロリ濃厚ロックなのです。浸食とかIt's the endとか。HONEYいいよねHONEYとか言ってる奴はアレだ、その年の紅白のビデオでも引っぱり出してきて見てみ。化けの皮剥がれまくりだから。
 まぁそんなわけで、何となくイイ感じのポップスや爽やかロックに惹かれてファンになったものの、実はライブではイマイチということに気づいてしまった俺達は、「いや、ドロリとしたロックは本物っすよ!」とラルクのファンであることの意義をそこに見出していたわけです。が…。
 今回のアルバム、シングルやらハガレン劇場版の曲やらで既出曲がチラホラあり、残りの新曲のうちドロリ系ロックは2曲。…ここからしてバンドの方向性が変わってきたんだな、と感じさせますが、問題はその中身。何かさ、テキト〜に作ってね?何つ〜か、「ラルクと言えばドロリロックだよな」と言ってる奴等のために一応作ったよ、みたいなテキト〜さを感じます。しかも○○…。ただでさえ全体的にシングル曲と比べて新曲がクオリティで負けてる感じがするんですが、正直これにはガックシ。
 他の新曲はどうか、というと、爽やか系のロックやバラードはバランスよく出来ていて、いい意味で計算高い売れ線な作りとなっています。名曲とはいえないまでも結構聞ける曲がそろっているのは事実で、まぁ買っても損はない出来といえるでしょう。
 ですが、唯一の特長であったドロリ系ロックがアレになったため、ラルクじゃなきゃいかん理由がなくなってしまいました。科学の力で昇華されたhydeボイスによる爽やかソングはそれなりのものではありますが、唯一無二と言えるほどのクオリティではなく、他のバンドの曲でも十分補えてしまうのでは、と思ったりもするんですよ。まぁ個人的にはhydeのCDでの歌声は好きですし、爽やか系の曲も聴きやすく、何よりこのレベルのバンドで他に応援してる奴等がいないのでこれからも聴き続けるとは思いますが…。氷室?この場に名前を出すだけでも失礼と言うものです。正直格が違いすぎます。ボーカルとしての技量、声量、作曲家としての質、そして何よりライブでの圧倒的な求心力…。ああ、氷室最高。
 こんなこと書いてたら荒らされそうですけど、一応俺はラルクのファンのつもりなので、一ファンの苦言として読んでいただければ幸いです。つ〜か、結構似たようなこと感じてる古いファンはいると思うんですけどねぇ。