翼は夢、そして空へ

 夢の本
 日本全国から集められた、中学生・高校生・先生達の夢が綴られた本の紹介。
   
 夢。子供の頃喘息持ちで体の弱かった自分にとって、苦しみを和らげてくれる医師の存在はとてもありがたく、漠然と「自分もこうなれたらいいな」と思っていた。多分これが自分にとって最初の「将来の夢」。成長し他の様々な職業の存在を知り、それぞれの素晴らしさというものを理解するようになっても、医師という職は自分にとって特別だった。他の選択肢はほとんど考えなかったと言っていい。
 その夢が少し具体的になったのは高校の頃。当時部活で怪我に悩まされ、治療を受けたものの結局完治しなかったことからスポーツ外傷の治療・リハビリテーションの難しさを知った。そして自分と同じように怪我でスポーツに満足に復帰できない人はたくさんいるであろうこと、そういった人を助けるにはスポーツ外傷への知識やひいてはスポーツそのものへの豊富な知識を持ったドクターが必要なのだということを知り、スポーツ整形に進むことを考えるようになった。「自分が感じた辛さや悔しさが経験として他の人を助ける糧となるんだったらこの怪我も無駄にはならない」と自分を納得させようとしたというのも多分にあったと思う。でもそれ以上に「やってみたい」と思う気持ちがあった。
 そして現在。紆余曲折あったけど、子供の頃から持ち続けた夢が実現するまであと少し。今はまた欲張って夢のさらに先を見ている。リングドクターになってプロの選手達の怪我を診ること。選手の回復を助けることで、その選手の夢だけでなく、彼に希望を託したファン達の夢も助けることができるかもしれない。それって素晴らしいことなんじゃね?なんて単純に考えてたりする。でもそんなしょうもない理由でも願い続けて叶えるために努力すれば何とかなるんじゃないかと信じて今を頑張っているところ。いつの日かテレビで俺がドクターストップかけて観客から大ブーイングを受けていたら、「あの馬鹿が夢を叶えたんだな」と思って暖かく見ていて欲しい。
 で、今回紹介するこの「夢の本」。日本各地から集まった色んな夢が詰まった本。これから叶えようとする夢、頑張って叶えた夢。他愛のないささやかな、でもまっすぐな夢。叶えられるかわからないほど大きく、でも叶えたい夢。色々。そういった夢達に本を通じて触れることで、夢が見つかってない人は何かのきっかけになるかもしれないし、夢を追って疲れてしまった人は明日からも頑張る糧を得られるかもしれない。皆色んな夢を持っているんだなぁと単純に楽しんでしまうのもいいだろうし、「自分も昔は…」と過去を懐かしんだりするきっかけにするのもいいんじゃないだろうか。楽しみ方は人それぞれ、でも何かしら心に残る本。かく言う自分は夢の原点を思い返してまた明日からも頑張ろう、なんて思ってしまった。夢っていいよね。