不定期連載 今週の一冊(仮)

 何となく読んでみて「お?」と思った本を紹介してみることに。俺の読む本はだいぶ偏ってるけど…。
 「戦場の精神史―武士道という幻影」
 俺は昔から武士道という言葉に異様なほどに惹かれていて、「葉隠聞書」やら「武士道」やら「五輪の書」やらを好んで読み、自分なりの武士道のイメージを築いていた。そんな俺が本屋で「サムライは嘘つきだ。」なんて帯をぶら下げた本を見つけた日には、「何だとコラ!」となるわけで。でもこの本、古代から近現代に至るまで、戦場における武士の生き方、思想などが詳しく分析されており、従来の武士道観に囚われていた俺にはかなり衝撃的な内容であった。「戦国武士の行動原理はヤクザのそれに近い」「葉隠の『武士道と云ふは死ぬことと見つけたり』という武士道観は当時においても異端な思想であった」など、かなり興味深い内容が記されている。新渡戸稲造の「武士道」を読んで「武士とはこんな生き方をしていたのだなぁ」と納得してしまっている方々、是非ともこの本を手にとって頂きたい。