NOAH武道館大会感想

 ノア「Spring Navigation’07」最終戦 情報源:スポーツナビ
 見終わってまず出てくる感想が「小橋早く帰ってこないかなぁ…」では大会としてちょっとヤバいんでね?と思った春のある日。
第1試合:泉田・橋組vs百田・平柳組
 デビューしてだいぶ経つけどまだイマイチ色が出せてない平柳、デビューして随分経つけどまだ色々ダメな上に平柳とやってても「橋頑張れ〜」という微妙な歓声が飛んでしまう橋。それに比べてやはり百田さんの存在感は抜群…というかそれだけで9割くらいが構成されてた試合。ラッシャーさんや永源さんが去り、SUWAも引退してしまったという今の状況での前座は少し寂しいですな。百田さんに対抗し得るキャラが必要でしょ。…やはり田上かなぁ。まぁ何にせよ最低限のツカミはOKという感じの試合でした。
第2試合:田上・金丸・谷口組vs志賀・川畑・ジョー組
 我らがパンパーズの独壇場になるかと思いきやブルロープ持参で入ってきた田上様が全てかっさらってしまいました。最近の田上は輝いてますねぇ。志賀さんは例によって独特のアレを展開してくれましたし、谷口はスープレックスでそれなりに魅せてくれました。あと会場に熱烈なジョーファンがいた為かジョーで結構盛り上がり。まぁジョー樋口に対してもアレしてたから単に「ジョー!」と叫びたかっただけなのかもしれません。まぁ何にせよこれもコミカル寄りの試合でした。コミックT上等。
第3試合:ヨネ・KENTA・石森組vsダニエルソン・クロス・デビアス
 デビアスJrのフィストドロップwithオーイエーで腰クネクネがポイント高かったですな。KENTAがそれパクってましたがまだ照れがありますよウン。クロスの笑える受けっぷりや石森の軽快な動きもなかなかのスパイスでしたが個人的にはダニエルソンのテクニックにメロメロでした、やるねこの人。ヨネは…まぁいつも通りだよね。もう一声欲しい試合でしたがまぁこんなもんか。
第4試合:小川・本田・菊地組vsバイソン・斎藤・井上組
 バイソンがようやくハジけてきたかなぁ、と。やはりガイジン部隊で強力なのがいないとアレですからね、この展開は願ったりかなったり。GHCに挑戦するというアレもありますし、これを機に大躍進してもらいたいですな。他の面子は大体いつも通り。斎藤の滞空ブレーンバスターの出来がイマイチだったのは本人の問題か受けた菊地がアレだったのか…。あと小川のテーマ曲は前のほうがずっと良かったなぁ。
第5試合:丸藤・マルビン・太田組vsCIMA・横須賀・キッド組
 間違いなく今大会のベストバウト。他団体からの参戦ということで、普段馴染みのない選手のムーブには反応しづらかったりすることもあるんですが、一見さんにもわかりやすく「凄い攻防」をやってくれたドラゲー勢のお陰で盛り上がりました。CIMAの存在感やマイク、キッドの超絶なアレに奇想天外な連携などなど見所満載。横須賀も地味ながらスキルのあるところを見せてくれて上々。それに触発されるかのようにNOAH勢も持ち味発揮してました。一平ちゃんはこの面子の中では明らかに一枚落ちるアレではありましたが、奮起してしっかり印象残してくれるあたり悪くないかと。丸藤とCIMAの対決はやはりドキドキするというかオーラがありますよウン。シングル楽しみだね。
第6試合:高岩竜一vsムシキング・テリー
 間違いなく今大会のワーストバウト。試合展開は序盤から高岩がかっ飛ばしてテリー防戦一方というアレがしばらく続き、最後ちょろっと盛り返したテリーが新技ミスって慌ててミストクラッシュで勝ち…。観客呆然。俺も唖然。高岩的にはアレでしょうね、最初からえげつなく攻めまくって客のヒートを買い盛り上げようという丸藤とアレしたGHCJr戦みたいな持って行き方を狙っていたと思うんですよ。でも惜しむらくはテリーは丸藤にあらず。人気の面でも切り返しの妙という点でも…。なので一方的に攻められるとなかなかペースをつかめないままですし、それを見た観客も応援しようというアレよっか不甲斐なさから野次りたくなるわけで。子供達の声援がかえって切なさ炸裂でしたよ。そして前から言ってますがテリーは技が雑。調子いい時は見た目の派手さに隠れもしますが、やはりしっかりと技を入れることが出来ず説得力という意味でウウンという場面が多く、盛り上がった雰囲気に水をさすことが多々ありました。そしてフィニッシュ前のアレ…。多分フェニックススプラッシュかな?やりなれてないものを大一番で出して見事に目測を誤り自爆。慌ててミストクラッシュでピン。なんか去年の大日のメインを思い出しました。さすがにこれについてはマスコミもコメントしづらいのか、携帯サイトでは「ずれてヒットしたためにかえって大ダメージ」という超解釈が飛び出し、スポナビではそもそもなかったことにされるというステキな事態に。週プロではどう書かれるかなぁ…。この試合でアレした空気がセミやメインに少なからず影響したという意味でも戦犯度高まくり。猛省しろテリーの中の人。
第7試合:秋山・力皇組vs高山・杉浦組
 前の試合のアレな雰囲気に引きずられたためか、観客の熱気がイマイチの中始まったセミ。この試合で大事だなぁと思わされたのは「ミート音」。今回招待券が多かったのかたまたまなのか観客の反応がイマイチなことがあったんですが、高山の蹴りやリキの張り手にもちょこっと反応が薄かったのですよ。こと高山に関しては往年のキレが見られないせいもあって蹴りの迫力が若干アレ。こういう時に「パァン!」とイイ音が出ていればそれだけで盛り上がるモンなんですが、それをリキも高山も出せてなかったために、一見さんにはちょっと重みが伝わりにくかったという部分があります。そんなこともあって序盤の攻防は結構キツめの割には盛り上がりにかけ、正直「このままじゃヤバいなぁ」と思っていたわけですが…。ここで輝いたのが杉浦ですよ!体格差をものともせず受けに受けまくっては立ち上がり、ボッコボコにされながらも要所でスピアーやスープレックスで反撃。張り手・エルボーの差し合いにも一歩も引かずにガンガンアレしていき、リキのキツいアレを食らいまくり。エクスプロイダーパワーボムもエグイの食らってもうダメだ!というシーンでもガッと肩を上げて立ち上がり反撃するもんですから会場盛り上がりますよウン。今大会唯一の武道館地鳴りじゃなかったかな。最後は無双の前に力尽きましたが、この試合の主役が間違いなく杉浦であったことは試合後の大杉浦コールが物語ってます。今回のMVPは杉浦貴ですね、ハッキリ言ってね。
第8試合:三沢光晴vs佐野巧真
 「佐野最強伝説」は証明されるのかという期待の中行われたメイン。「思ったよっか佐野の引出しの中身は少なかった」という感じでしょうか。U系ムーブにしてもソバットにしてもバリエーション的にそう多彩でもないので、何だか単純作業の連続を見せられてる気分でちょっと食傷。意外性のある何かが飛び出したわけでもなく、結局最後はエロ社長の新型エメフロに敗れました。まぁでもシリーズ通してソバットの必殺ぶりをアピールしてきたために「アレが当たったらヤバいね」という空気を作り出せてたのはよかったですよ。反面社長は何の前フリもなく新技出したのでちょっと反応しづらかったです。個人的には新技は前哨戦とかで出してその威力をアピールしておくか、新技開発を臭わせた発言とかやって「何か来るぞ」という印象をあらかじめ客に植え付けておくべきだと思うんですよ。そんなこんなで爆発的な盛り上がりに欠けましたね、メインは。ここのところの三沢さんの試合はイマイチなので「まぁこんなもんか」という感じ方になってしまうのが寂しいですが…。
 全体的には見所も結構あり、決して悪い興行ではありませんでした。値段分は十分楽しませてもらいましたよ。でも普段味わえるプラスアルファの部分が足りない、一見さんにもまた来ようと思わせるだけのパワーは正直感じませんでした。このなんとも言えない物足りなさが数年前の新日の大会とか彷彿とさせて薄ら寒いです…。メインが締まればある程度は何とかなるってのはあるので、GHCヘビーにこだわらずイイ試合をメインに据えるか、とっとと社長を王座から引き摺り下ろすかした方がいいかと。ちょっと今のままだとこの先苦しくなるかなぁというのは感じました。
 それとは別に今回気になったのは全体的に見た試合の傾向というか雰囲気。前座を始めとしておちゃらけたコミカル試合が多かったように思えます。そういった試合はそれはそれで楽しめますし俺も大好きなんですが、そればっかりだと何となくメインまでそういう感覚を引きずってしまうということがありまして…。お笑い時空に支配されちゃうとピリッとした試合の中でもちょっとアレレな事が起きると笑いが出て空気が弛緩してしまうんですよね。今回のメインなんか特にそんな感じ。エグい腹攻めもちょっとした野次のお陰でお笑いムードになり、観客の盛り上がりに水をさしたというのはあったと思います。途中休憩がなかったのもそういった雰囲気が後まで引きずられた一因じゃないでしょうか。笑える試合は笑って楽しむ、熱い試合はガンガン盛り上がるといった切替が自然と出来るように試合構成とかもちゃんと考えるべきだと思います。全ての客が臨機応変に反応できるわけではないんですし。そういう点においては全日のパッケージプロレスとか参考になるんじゃないかなぁ。
 もうひとつアレだったのはGHCJr戦における「技のミス」の印象がでか過ぎて、後の試合でも「綺麗にヒットしなかった」→「観客白ける」という流れが出来てしまったんじゃないかな、ということ。要はちょっと冷めちゃったんですよ客の熱が。粗が気になるようになるというか…。それが大事なところでクリーンヒットしなかった佐野のソバットのところで噴出してしまい、せっかくの盛り上がりどころでかなりアレなことになりました。かくいう俺も少なからず盛り下がりまして、メインなのに声張り上げて応援せず淡々と観戦、という珍しいスタンスになってしまいました。こういった雰囲気を吹き飛ばすには問答無用でわかりやすくスゲェムーブを繰り出すか、技術云々を度外視した熱さを出すしかないんですよ。前者はジュニア勢の華麗なアレとかモリシの豪快なアレとかに期待は出来ますけど、後者は…今回はスギが頑張ってくれましたけど、やっぱ小橋を求めてしまうんですよ。小橋…早く帰ってきてくれ〜。
追記:そうそう、セミ終了後にTAKAが来てRODがNOAHで復活みたいなアレがあったんだよね。ムトゥ全日でのアレは生で見たことなかったんでRODコールは初体験でしたよ!TAKAがどんなガイジン連れてきてかき回してくれるのかちょっと楽しみ。ジャマールみたいな大粒持って来てくれればモリシと巨漢たゆんたゆん対決で盛り上がるかもわからんね。