俺的ベストバウト

 16年目の夏です。まだまだ続きます。
 さてさて13年目にはふとしたきっかけで名タッグ「サブマシンガンズ」が結成、タッグ戦線が一気に活性化した年でしたが、シングルの方はというとジーニアス武藤が当時国内最強として一歩抜きん出た存在でした。マイティ祐希子(これはもはや別格)に敗れてタイトル戦線から遠ざかっていた彼女も13年目1月のシングルトーナメント制覇、続いてSWSRヘビー奪取と勢いに乗りまくり。飛び技を主体としたオールラウンドなスキルを誇る彼女にはもはや強豪外国人でも太刀打ちできませんでした。
 しかし1年間の海外遠征で凄まじい成長を遂げて帰ってきた伊達遥が帰国。凱旋興行でSWSRヘビーに挑戦し、武藤相手に60分フルタイムの激闘を演じます。デビュー3年目の彼女の躍進っぷりにビックリのhiero社長、白黒ハッキリつけさせるために翌月に再度タイトルマッチを組みました。極め技を苦手としながらもそれを補って余りある打撃力と回復力で押し切る遥と、体力では劣るもののスピードとテクニックで凌駕するエース武藤との再戦は、こちらの期待を十分すぎるほど高めてくれました。
 そしてシリーズ最終戦、東京有明スポーツアリーナ*1は超満員札止め。その中でSWSRヘビーを賭けて武藤と遥が激突しました。実力で勝る武藤は手数で攻め、遥は回復力を活かして耐えながら要所で一発を狙っていく展開。一進一退の攻防となりますが、やがて遥の打撃ラッシュが武藤の鉄壁の防御を崩していきます。劣勢に立たされた武藤はここで必殺のシューティングスタープレスを解禁!そこから畳みかけて両者体力の限界に。しかしこの戦いの真骨頂はここからでした。武藤のジャーマンにギリギリ肩を上げる遥、狙いすましたハイキックをモロに食らいながらも3カウントを許さない武藤。交互に大技を繰り出しカウント2.9の連続に…。普通ならとっくに終わっているような状況で、2人は何かに憑かれたかのように立ち上がり続けました。観てるこちらも我を忘れて大興奮。恐らく会場も足踏みで地鳴り起きまくりでしょう。そしてそのまま決着がつかないかと思われたその時、意表をついて繰り出された武藤の小包固め!この状態じゃ完全に決まった!と天を仰いだhiero社長、しかし遥の足がギリギリでロープにかかってブレイク!そして離れ際に遥が必殺の閃光魔術!カウント1、2、…3!伊達遥が激闘を制しSWSRヘビーを奪取した瞬間でした。もう拍手するしかありませんよこれは。つ〜かゲームであることを忘れて泣きそうになりました(笑)。今まで観た試合の中で間違いなくベストバウトでしたね。凄まじいまでにスイングした最高の試合だったと思います。
 翌月の第2回S1では武藤が雪辱を果たし優勝。この2人を軸にSWSRシングル戦線はますます盛り上がっていくだろうとhiero社長は確信しました。さらに次の月ではドーム興行で初の超満員札止めを記録。シングルでは遥が石川涼美相手に堂々の防衛戦を行い、またタッグでは藤原和美・小川ひかるの同期タッグ「炎円舞連夢」*2がWWCAタッグベルトを奪取するなど、新世代の躍進が目覚しく、まさに順風満帆といった感じでした。そう、奴が帰ってくるまでは…。

*1:有コロがモデルと思われる

*2:ファイアーエンブレムと読みます(笑)