おれは……みかただ

 最近自分の中に仮面ライダー熱が微妙に復活してきたので、買ってみました「仮面ライダーSPIRITS」。
 この漫画イイですね!仮面ライダーの持つカタルシスと悲哀を見事に描いてます。変身シーンは特に気合入りまくりでゾクゾク来ちゃいますよ。まだ3巻までしか読んでないんですけど、今のところ「一文字隼人」の話と「沖一也」の話が特にお気に入り。特に前者は電車の中で読んでて思わず泣きそうになりました…。
 仮面ライダーが他のヒーロー物と異なる点は「主人公の持つ悲哀」にあります。「改造人間」となり強大な力を手に入れた反面、「もう人間には戻れない」という悲しみを背負うヒーロー。そしてその戦う理由も最初から「正義の為」だったのではなく、多くは個人的なものが発端です。無理矢理改造された恨みを晴らす為だったり、殺された家族の復讐だったり。ウルトラマンに変身する人間達も、宇宙刑事な人達も、改造なんて話とは無縁ですし、戦う動機も純粋な正義感だったり仕事だったりするのに対し、仮面ライダー達には哀愁が漂いまくりです。むしろ同じ石ノ森作品である「サイボーグ009」に近いと感じる方も多いでしょう。
 そういった点に魅力を感じていた俺にとって、「宇宙開発用サイボーグ」に自ら志願した沖一也、すなわち「仮面ライダースーパー1」にはイマイチ来るものがありませんでした。放送当時は3歳のガキンチョだったので、見た目のカッコ良さとファイブハンドの面白っぷりに惹かれて見てましたが…。
 でも今回この漫画で気づきました。夢の為に改造されたからって、改造人間としての悲哀が消えるわけではありません。しかし、そんな悲しみにも心曇らせることなく人類の未来の為に戦う姿はそれはそれでキレイでカッコいいではありませんか!仮面ライダーのセオリーから外れているというだけで否定するのではなく、彼のヒーローとしての真のカッコ良さを評価しなければならない、ということにようやく気づくことができました。
 そんなわけで面白いです、この作品。仮面ライダーのことさっぱり知らない人には多少わかりにくい点もあるかもしれませんが、それでも彼らの戦いぶりにはきっと心揺さぶられることでしょう。個人的には仮面ライダーBLACKも参戦してもらいたいんですが…無理かなぁ。