不定期連載 今週の一冊(仮)

空の境界著:奈須きのこ
 ネット小説としてスタートし、同人誌を経て遂にノベルス刊行。発売直後から怒涛の人気で瞬く間に40万部突破したライトノベル界の超新星がこの「空の境界」。俺はゲームがきっかけで同人誌版を読んでハマった口です。
 モノの「死」の線がみえる「直死の魔眼」を持つ殺人嗜好者両儀式と、平凡な(そうでもないかも)青年黒桐幹也の物語。「人を殺すということはどういうことか」「人の心の有り様とは」といったものをテーマに、彼らを取り巻く事件を綴る正統派のライトノベルですが、世界設定の複雑さ(いい意味で)、伏線の妙、殺陣の描写の鮮烈さは見事の一言。いわゆる「文芸的な技術云々」を問うような類の本ではありませんが、それを補って余りあるいい作品だと思います。
 後、一部で噂されている「ブ○ーポッ○」の某キャラのパクリ説ですが、「空の境界」のネット掲載は某稲妻男が出る巻の発売よっか早いです。作風とかは確かに某作品にインスパイアされている部分もあるとは思いますが、それだけでこの作品を駄作と決め付けるのはもったいないと思いますよ。