不定期連載 今週の一冊(仮)

「マッチメイク」著:不知火京介
 プロレスを題材にした推理小説で、第49回江戸川乱歩章を受賞した作品。知人からもらったまましばらく放置していたのだが、暇があったので読んでみた。プロレスをうまく織り込んだ推理小説、という意味では及第点。特に真新しいトリックとかがあるわけではないが、題材となる「プロレス」業界の特殊性が話の鍵となっている。ただ、参考文献があのミスター高橋の著作であるため、アンチ高橋派の人がみたら怒り出すような設定もちらりほらり。まあ要はガチ至上主義者にはお薦めできない。また、プロレスに興味の無い知人曰く「わけわからない」。プロレスの何たるかをある程度理解していないとサッパリわからない部分が結構あるのは事実。描写は結構しっかりしてるんだけど、スミスマシンとか言われてすぐトレーニングマシンの形が想像できる人は多数派ではないだろう。
 つ〜わけでこの作品、内容の良さ(ある程度)と題材の斬新さによって賞を得たものの、その斬新さがネックとなって読者を選ぶ。すなわち、「プロレスをある程度わかって、推理小説に過剰な期待をしない人」向けなのだ、これは。まあつまり俺なわけだが。あんま「プロレスはショーだコラ!」という意見を垂れ流すのは「サンタはいないんだ!」って連呼されているのに似て至極ムカつくけどね。まあ内容がそこそこ、ということで。トレーニングシーンはなかなかツボを押さえています。以上。